2008年4月15日火曜日

■『会津学』第4号の編集作業がはじまりました


■2008年4月末が、『会津学』第4号(8月15日発行予定)の原稿の締切日となっています。

■2008年4月14日(月)午前、福島県会津の三島町宮下の奥会津書房にて、遠藤由美子編集長、中丸さんと、菅家博昭で、編集日程について打ち合わせが行われました。また、13日に到着した山形県の草刈広一さんのハラミドリヒメギスの原稿も、編集長に渡しました。積雪地帯の山形・会津・新潟の山塊の地形に合わせた形態変化がみられるバッタ(キリギリス)の仲間の調査報告です。力作です。ありがとうございました。

2008年3月24日月曜日

福島県立博物館の公開講座

■2008年4月3日(木)13時30分から、福島県立博物館では木曜の広場は新講座として「会津学講座」となります。第1回は「会津農書」の民俗世界。赤坂憲雄館長、佐々木長生学芸員。

→→福島県博の催事
 会津農書』は貞享元年(1684)に佐瀬与次右衛門によって著述された農業技術書。与次右衛門の経験と旧慣習に基づく、中世から近世初期にかけての会津の民俗が記されています。

■5月8日 風土記・風俗帳の民俗世界
6月5日 会津の民俗芸能
7月3日 会津の山の神信仰
8月7日 磐梯山信仰
9月4日 職人巻物の民俗世界
10月2日 会津の焼畑と火耕
11月6日 森のめぐみと民俗
12月4日 雪と農業
2009年1月8日 会津の市と市神祭り
2月5日 馬をめぐる民俗
3月5日 民具が語る暮らし

暮らしを見つめる

■奥会津・間方(まがた)の人々に学ぶ

 二〇〇八年三月一七日(日)、一八日(月)、福島県会津地方にある三島町で会津学研究会による「春季講座」を開催し、参加された一五名の皆さんと、二日間、人の暮らしのあり方を時間をかけて学びました。

 三島町の間方(まがた)集落で生まれ暮らしている五名の皆さんからお話をうかがい、最終日に福島県立博物館の佐々木長生さんに『会津農書』『大谷組風俗帳』という近世の文献資料と現在の間方の生活を比較・連関して、まとめのお話をしていただきました。
 印象に残ったことをお伝えいたします。

 初日は、間方に生まれ、間方に嫁ぎ今も暮らしている三名の女性(昭和八年生、十年生、二十年生)から「ヒロロ細工」「雪納豆作り」「山の食べ物」について教えていただきました。

 二日目は、間方に生まれ暮らしている二名の男性(昭和●年生、二十八年生)から「集落にある神々」「狩猟(テッポウブチ)」「雨乞い」「魔の山(志津倉山)」について話をうかがいました。

 志津倉山の北麓にある源流の集落である間方集落では、南を向いて、つまり志津倉山(シンザクラやオーベエ)を向いて男は野良でも、山に入っても小便はしてはいけない、と教えられそれを守っている。最近まで「マノヤマ(魔の山)」と呼び、山頂から麓に降りる場所は数カ所しかないため、地元に住む人もたいへん気をつかって山に出入りしている。天狗様が棲んでいるともいう。そのため山に入ったらあまり大きな声を出さないようにしている。またマエツボ(前坪山)にはカシャ(化け)猫も棲み、それが土葬で埋めた死人を喰うので、間方の葬式は暗くなる夕方に行う。埋めた墓にも三本の木を曲げて六脚を土に刺し、弓にしてはねるようにしつらえる。昔は黒松を伐り芯木としてサイノカミも正月十五日にやったけれど、その黒松が無くなり、昔は杉の木も植えていなかったので、サイノカミで火事になったという理由にしてサイノカミは行わないようにし、雪で直径5m×高さ2mのドウを作り集落を上手と下手に分けて鳥追いとした。

 志津倉山で雨乞いをすると雷雲が出て雨になる。また美女峠伝説にちなむメサツ沢というのがある。

 山のモワダの木(しなのき)は六月中旬に伐り、皮を剥ぎ池などで二十日間ほど腐らせ、皮を剥ぎ、乾燥させ保存する。乾燥状態では弱いけれど、水に濡らすと強くなる。荷縄などを作った。葉の長いものと、丸い葉の二種類がある。

 ヤマブドウはこえた土、広葉樹の森でないと育たない。採取をただ続けていくと無くなるから栽培することも考える必要がある。皮は三重になっており、六月下旬から七月十日頃の山の栗の花が咲いたころに採取する。ナタ(鉈)やヨキ(斧)の刃を守るサヤにした。外皮は鬼皮といい、水に浸して形を作り、ソリ引きのときの肩荷縄にした。いまの手提げカゴひとつ作るに三本のヤマブドウが要る。

 マタタビは「ヤマを作る」ことをしておく。それは芽をふたつ残して剪定しておき、春から秋に伸びたツルを採取し、米などをとぐコメトギザルやヨツメザルを編む。

 ヒロロは多年草で、二種あり、ホンヒロロ(ミヤマカンスゲ)は、春から秋に伸びた葉を二百十日頃に引き抜き採取し、根を残す。ウバヒロロ(オクノカンスゲ)は、六月下旬に採取する。雨蓑(あまみの)や背負蓑(しょいみの)、山菜採りのスカリ(腰カゴ)にする。

 二日間、話者に参加者は、ヒロロを縄になう手繰りを教えていただき、稲ワラで納豆つとを作る作業をともに行いました。稲が入ってくる前の時代の縄はモワダという樹皮繊維であり、ヒロロという谷筋の沢沿いに自生する草の葉を利用していたことがわかりました。 また稲ワラを利用した納豆つとには二種類あり、簡単に作れるものは「モノグサ」といい、十二月の下旬に作るセツ納豆用のツトはきちんと編みこんで作るものでした。雪の中にクタダラ(稲ワラのくず、クタダ)をしいて納豆ツトをならべ雪を積みしっかり踏み込んで二日間ほどで納豆になった、という。

 イロリでゆでた大豆を納豆ツトに詰めるときに、一本の5cmほどの稲ワラ(茎)を結んだ「ヨメ」を豆の中に一個入れ、ワラを閉じ、周りを二人で結ぶ。「必ず二人でやるんだよ」と何度も語ったことがとても印象に残っています。正月用のセツ納豆は、家族、つまり母と娘、あるいは母と嫁、、、など家族に作法を伝える仕組みを持っているということが理解できました。縄をなう作業などは、少し教えてもらったら、あとは工夫しながら一人で行う、根気がいる仕事です。その一方で家の行事に関わる作業にはできるだけ人手をかけるように仕向けていることがよく考えられていました。

 私は、この志津倉山の反対側の南麓の昭和村大岐に住むのですが、この山から下りてくる雷雲は必ず雹害をもたらす、としてこの山塊の「ショウハチハヤシ」の空が黒くなったら気をつけろ、という伝承を抱えています。

 またサンボダケ(エゾハリタケ)は、ブナ、トチ、ミズメ(ミズネ)のほか、ハナの木、カエデにも出るが、8割はブナに出る、という。

 会津学研究会ではこの夏に発刊される『会津学四号』に、この春の学びのことも掲載する予定でいます。

(菅家博昭・会津学研究会代表)

 関連→→→会津学講座 

2008年3月17日月曜日

春季:会津学研究会講座(三島町間方の人々の暮らし方に学ぶ)








■2008年3月16日(日)午後3時から開催しました。17日(月)も継続します。
 
 →→→「記憶の森を歩く」に一部紹介

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福島県の三島町間方地域に暮らしている人々の文化。

■2008年3月16日(日)午後、会津学研究会で、間方(まがた)集落の3名の女性の方からお話をうかがいました。とてもすばらしい環境認識、自然認識、、、ヒロロの糸を調整する「こすりなわ」、、、、納豆つとに入れる「よめ」、、、とか、はじめて知ることがとても多くありました。

 ひととおり話をうかがってから、夕食をとりながらうかがった話も、とても良い話でした。「とうごんぼ」(葉)は味噌をくるんで油で揚げる、、、シソが出るまでの用法、、、大岐では焼きめしを包む葉として使っている「とうごんば」と同じだと思いました。

 サンボンダケは、トチ、ミズメ、ブナの3種にしか出ないそうです。

 2日目(3月17日)は男性二人から話をうかがいます。

 「間方は棲みいいどこで、いまんなってみっと、ほんとによかったなあって思う」

■→→→ 奥会津三島編組品振興協議会

2008年3月16日日曜日

2008年3月16日(日)~17日(月)福島県三島町で

■会津学研究会:春季講座のご案内


山に生きる 三島町間方集落に学ぶ

日  時:2008年3月16日(日)・17日(月)

場  所:福島県三島町 桐の里倶楽部(0241-52-2828)

受講費用:大人1000円(参加費は1日、両日参加共)

申込締切:3月14日(金)



第1日目 3月16日(日)13:30~17:00
13:20 集合   三島町交流センター山びこ前(駐車場あり)

13:30~14:30  全国工芸品/三島町工芸品展見学(体験は別途500円)
三島町交流センター山びこ/三島町生活工芸館


※以下から会場は宮下温泉のふるさと荘となりの
桐の里倶楽部です。

15:00~17:00  車座談義①
・山の恵みの手仕事 舟木トメ子さん
・山の恵みの食   間方地区の方々


18:00懇親会「桐の里倶楽部」(希望者にて会費3000円)

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第2日目  3月17日(月)9:00~11:45
9:15~10:15  対談 山を知ること
 菅家藤一氏/菅家博昭(会津学研究会代表)

10:30~11:15  車座談義②
・祈りと習い    二瓶一義氏

11:20~12:00  雨と水の民俗
 佐々木長生氏(福島県立博物館)

主 催:会津学研究会・共 催:奥会津書房

2008年2月17日日曜日

2月21日午前、三島町で。

■2008年2月21日(木)午前9時~12時。福島県三島町宮下 「カノヤキ(焼畑)研修会」が行なわれます。照会は奥会津書房まで。

  三島カノヤキ組研修会
 ○全国のカノヤキ事情 近畿大名誉教授 野本寛一先生
 ○映画上映   「牛蒡野のカノカブ」
 ○事例・質疑  野本昭三氏(牛蒡野でカノカブをつくる)

 同夜、ふるさと荘にて夕食会と会津学研究会例会を開催いたします。詳細は奥会津書房まで18日締切。

■2月21日(木)午後1時30分~5時 三島町宮下・三島町民センターにて、「農林業と木質バイオマス講演会」。会津西部木質バイオマス研究協議会主催のパネルディスカッション。聴講参加無料。

「バイオマスの現状と未来」福島県南会津農林事務所森林林業部林業グループ主任主査鈴木比良氏(南会津町)

「山に雇用を生み出すペレット製造」(株)アグリパワー代表取締役佐藤良治氏(会津若松市)

「農林業素材を活かした自給燃料づくり」NPO法人グリーンエネルギーユーザーズ斎藤光一氏(会津坂下町)

「木質バイオマス活用の展望と課題」会津建築工芸舎代表金親丈史氏(喜多方市)

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■3月16日(日)~17日(月) 会津学研究会 春の講座。主会場は三島町桐の里倶楽部(0241-52-2828)。三島町内で全国工芸品展が開催されており、見学、体験(生活工芸館は別途500円)。申し込み受付(参加費1000円)しています→→→奥会津書房

16日(日)午後3時~5時 車座談義(山の恵みの手仕事、等)

17日(月)午前9時~11時 対談「山を知ること」(三島町間方地区在住菅家藤一氏、聞き手菅家博昭)

2008年1月17日木曜日

ユーチューブでの映像配信試験

■2008年1月17日(木)会津地方は雪です。

■昨年末から会津各地を取材し、編集し、試験的に、ユーチューブに映像をいくつか掲載しています。これは2007年9~11月に会津を2回案内しました。その調査・取材・撮影したものが後に公開された「香箱(こうばこ・香時計とも)」についてのotaラボ(大田花き・花の生活研究所、東京の花卸会社)の映像を見たからです。

■カツラ(桂・樹木)の乾燥した葉がいかに粉砕されていくか(速度)、、、そしてそのための準備の身体技法、、、安定させるためのワラの使用はそのくくり方など、、、よく見ることができます。→→→ otaラボの香時計

■私は各地の表情や、古刹である神社・仏閣を年末・年始に撮影して編集してみました。→→→ 菅家博昭のユーチューブ(GYPJ)

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■会津美里町雀林の法用寺三重塔は会津地方に現存する唯一のもので、へびぶち(蛇打ち)という民俗行事も行われている地域です。塔には昨年のものと思われるセミの抜け殻がまだついていて、正月は大雪でしたが、それ以降雨の日が続いた1月7日の早朝に撮影しました。「尊農」の掲額もありました。→→→ 1月7日撮影 

■喜多方市も取材してみました。アマチュアによるビデオ撮影というのは公開を前提とするととても難しく、三脚を使用しての撮影では半日で100カット、60分程度撮影し、3~5分に編集してみます。時刻表を調べ撮影地点を決めて磐越西線(JR)のディーゼル列車を撮影しました。
 →→→ 2008年1月7日 喜多方市 願成寺会津大仏

 →→→ 2008年1月6日 喜多方市 新宮熊野神社長床

 →→→ 2008年1月4日 大内集落の正月

 →→→ 2008年1月10日 会津若松市の十日市

 →→→ 2008年1月8日の奥会津の雪、、、、昭和村小野川・大岐

2008年1月10日木曜日

例会等のお知らせ

■2008年1月の例会は次の通りです。

■会津学研究会のみなさま

奥会津書房@会津学研究会事務局です。

今年もよろしくお願いいたします。
今年初の研究会は、第3木曜の1月17日となります。
道路事情を勘案して、15:00~17:00までを予定いたしました。
是非ご出席くださいますよう、ご案内いたします。

日時:1月17日(木)15:00~17:00
場所:奥会津書房




■会津学研究会事務局です。
赤坂憲雄氏、佐々木長生氏、新国勇氏がパネリストのフォーラムです。
是非ご参加ください。
日時:1月20日午後1時から3時半
場所:福島市杉妻会館2階 牡丹の間(福島県庁脇)
    024-523-5161

参加される方は、奥会津書房までご連絡ください。