2009年8月28日金曜日

第5号 聞き書きの現場から『会津学』発刊




■2009年8月22日(土曜日)
 雑誌『会津学』5号(会津学研究会編集、奥会津書房発行、1500円)が、発刊されました。毎年8月に発刊して5年目となりました。

 22日には、福島県三島町宮下のふるさと荘脇の「いまここカフェ」で発刊の集会が開催されました。

 なお、『会津学』1~5号は会津地方の書店店頭でお求めいただけます。また版元の奥会津書房からも郵送していますので問い合わせて下さい。

■8月22日の催事の様子は次のサイトに掲載されています。参考までに「いまここネット」の記事を転載いたします。

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いまここネットより転載(8月24日)

2日前におこなわれた会津学ゼミナールのレポートです。

まだ少し準備が残っている午後2時頃から、続々と参加される方が集まってきます。初参加の方、いつも参加されている方、若い方から、年輩の方まで、年齢や性別もさまざま。談笑される方、当日発売となった『会津学』5号を購入し目を通す方など、開会まで思い思いに過ごされていました。

発表者の菅敬浩さんには、なんと駐車場の雑草を草刈り機で刈っていただきました!前から気になっていたので、手でチマチマと草むしりはしていたんですが、本格的にはやっていなかったんですね。情けないお話ですが、今回はご好意に甘えさせていただきました。菅さん、ありがとうございます!

さて、午後3時となり、ついに開会!参加者20人ほどでしょうか。旧物産館を借り「いまここカフェ」を開いてから約2ヶ月、こんなに賑やかなのは久しぶりです!「ああ、いいなぁ・・・・・・」なんて、はじまってもいないのに嬉しくなる自分がいました。

さて、まずはいまここネットメンバーの川合正裕が報告をおこないます。
報告内容は「福一満虚空蔵尊の大わらじ奉納」。
会津の人が虚空蔵様と聞くと、まずはじめに頭に浮かぶのが柳津町の福満虚空蔵尊じゃないでしょうか。けれども、今回紹介したのは三島町大石田地区の福一満虚空蔵尊への大わらじ奉納です。名前が似てるだけでなく、柳津の虚空蔵様の姉様だという伝承もあるそうです。
この虚空蔵尊への大わらじ奉納は毎年おこなわれているわけではありません、今年はなんと20年ぶり!大わらじを作り、奉納するまでを画像で紹介したあと、なぜ今年奉納することになったのか、聞き書きで知ることができた人々の「想い」を自分の感想をまじえて語っていました。

次に菅敬浩さんの発表。
「一枚の写真物語」と題して、仏像の横姿を背景に撮った古い記念写真を手がかりに聞き書きをおこなった成果の報告です。スクリーンに映像をうつしてのとっても臨場感あふれるもの。どんどんと解き明かされる、写真の謎。背景の仏像は柳津の虚空蔵尊にあったそうですが、戦時中に供出したとのことでした。仏像は「出征したんだ」という言葉がすごく心に残りました。一枚の記念写真といえど、そこには歴史や物語がある、そのことを痛切に感じさせる発表でした。

3つ目の発表は渡辺紀子さんでした。
内容は沖永良部島でおこなわれた合同研究会の報告です。「沖永良部って・・・」と思われる方もいらっしゃると思いますが、そうです、鹿児島県の沖永良部島です!
会津学研究会と鹿児島民俗学会、そしてえらぶ郷土研究会は福島県立博物館で昨年おこなわれた特別展が縁となり、交流がはじまったそうで。昨年は沖永良部島の方々が会津を訪れ、今年の5月には会津学研究会の皆さんが沖永良部島に訪問したとのこと!
会津とは違った環境で生活を営む人々との交流、合同研究会で明らかになったことなど、渡辺さんのとっても実感のあふれる報告で、面白かったです。

最後は会津学研究会代表、菅家博昭さんによる「これからの会津学研究会、『会津学』」について。

まずは今後みんなで学んでいきたい、失われつつある暮らしの知恵や慣習を紹介されました。例えば、カヤ葺きの屋根の上に草花が生えていたがあれは何だったのかとか、お盆に供えるお花は何でどこでとってくるのかとか・・・かつては当たり前で、今では気をつけないと見落としがちなことです。
確かにボーっとしてると見過ごしちゃう、なくなっちゃうことってありますよね。色々な興味や視点で物事をみることの重要性をヒシヒシと感じました。
さらに、『会津学』という雑誌をつくる基本となる「聞き書き」についてもお話されました。おじいさんやおばあさんをはじめ、地域に生きる人々に何をどのようなスタンスでお聞きするのか。民俗学や文化人類学など、いくつかの学問では永遠のテーマともいえるものです。
菅家さんは私たちは研究者ではないのだから調査でなくていい、ということを強調されておりました。確かに「聞き書き」って別に学者の専売特許ではありません。やっぱり自分がいて相手がいる「対話」だと思います。ただ、こちらが話すより聞く方の比重が大きいかもしれませんが。

「調査でなくていい」、この言葉にこれからの会津学研究会の進む方向があるのかもしれません。

長くなりましたので今回の更新はこれくらいで。

いまここネットメンバーによる「アラン・スミシー」のデビューははたしてどうなったのか・・・・・・
次の更新は懇親会のもようをお届けしたいと思います。
投稿者 いまここSTAFF