10月7日に開催した学習会。コガヤ(カリヤス)の認識が改まった。
■■10月7日(木)は19時より大芦家にて、会津学研究会の小さな学習会が行われた。昨年10月に奥会津に調査された富山県生まれの柏春菜さんの「地域毎の半自然草地維持の仕組みとそのバックグラウンドについて」である。
岐阜県立森林文化アカデミー森と木のクリエーター科里山研究会に所属し、今春春に卒業研究として発表した論文をもとに1時間、スライド映写(PPT)を使用して報告いただいた。富山県・岐阜県・長野県の4集落のカヤ(ススキとカリヤス)利用の聞き取りと植物相調査、当地昭和村大岐を加えた草の利用の考察が行われた。
昭和村での事例として、カラムシ生産を支える伝統的な基層技術として春のカラムシ焼き(焼畑)には、必ずコガヤ(植物和名カリヤス)を使用している。しかし最近はボーガヤ(植物和名ススキ)が繁茂しそれしか入手できない状況にある。集落の農業が衰退し、真っ先に森林内に維持されてきた「カヤカリバ(カヤバ、茅場)」の共有地(コモンズ)が森林に戻ってきて、あるいは杉やカラマツの造林、集落開拓等により焼失している。一方、耕作地域が柳やススキが繁茂しいわゆる耕作放棄地が野に戻っている。
コガヤの社会的役割を探ることと、今後のコガヤの復活を企図して今回の学習会は開催された。植物が支える社会、の構想の意味を考えた。
→ 千葉県一宮市から参加されたマツヤマさん
→ 村内からの参加者
→ 大芦家
→ 菅家博昭付板
■繊維植物を得るために畑に受け付けた宿根草のカラムシ(苧麻・青苧)の生産に、乾燥したコガヤ(カリヤス)が重要な意味を持っています。雪融け後の5月に出てくるカラムシの芽を揃えるために、畑にコガヤを散らして焼き、カラムシの発芽を揃え、ひいては均一な成長をうながすためには、細いコガヤが最適であることがわかっています。火入れといっても火力をどのように維持し、かつ均一に焼き、そして目的とする植物の品質を高めるか?というなかでコガヤを取得する草地(半自然草地)が、各集落ごとに、共有地(コモンズ)として近世江戸時代から維持されてきました。しかしコガヤ草地を維持する、という野へのはたらきかけの基層技術がなにひとつわかっていません。春の山焼き(つけっぱなし)、秋のやまのくちあけ(かまぞろえ)ぐらいでしょうか。今回の柏さんの報告を聞くと中部日本では夏に数度茅場(半自然草地)の他種植物の除去・掃除が行われています。その除去した草はまた別な用途に利用している、という姿がわかってきました。昭和村におけるカヤカリバ(茅場)は、屋根材のためのカヤ取得ではなく、冬囲いとして家屋を雪圧力から守り、その融雪後カラムシ畑に運ばれてカラムシの品質確保のために「焼畑」のために、使用されていました。
■10月23日に昭和村の隣村・南会津町舘岩地区水引で茅刈り体験会(ツアー)が行われます。 →山村再生塾
■初出記事 → 菅家(記憶の森を歩く10月7日) →10月8日