2012年2月19日日曜日

近世の奥会津の木地挽き


■平成18年(2006)に滋賀県東近江市から刊行された『永源寺町史 通史編』は1328ページある。
 第四章「近世の展開と村々」の第七節「蛭谷・君ヶ畑の木地師支配」は生嶋輝美による執筆で、現在公刊されている木地屋・木地挽きに関する文献のなかでは珠玉の論文となっている。(593ページから658ページまで)
 一 木地師と小椋谷の惟喬親王伝説
    木地師と蛭谷・君ヶ畑
    轆轤工から轆轤師へ
    小椋木地師の痕跡
    小椋谷の惟喬親王伝説
  二 木地師支配所の形成
    木地師支配の由来
    大岩氏の台頭と京都
    木地師の保護
    支配への反発
    権威を求めて
 三 筒井公文書と高松御所の全盛
   文化四年幕府裁許
   合同廻国とその破綻
   支配の強化とその限界
   身近になる水上
 四 氏子かり 廻国する村人
   氏子かりの手順
   氏子かりの旅
   氏子かりに出た人々
   氏子かりの収支
 五 明治維新と支配所の終焉
   明治維新の激震
   木地師の戸籍問題
   惟喬親王千年忌と最後の氏子かり
   「木地師のふるさと」として
■平成13年(2001)発行の『永源寺町史 木地師編(上巻)・(下巻)』は合併前の永源寺町の発刊の資料編である。上巻は蛭谷氏子駈帳、下巻は君ヶ畑氏子狩帳・木地師関係文書・大岩助左衛門日記、解説である。
 これは近世の会津各地(昭和村内を含む)の廻国先のことが書かれている。なお、下郷町の金井晃、昭和村の馬場勇伍が調査協力している。
 過去には、杉本壽(平成9年没)、橋本鉄男(平成8年没)による氏子狩帳が翻刻されている。解説は渡邊守順。
 現在『永源寺町史』全4巻は18000円程度で古書店で求めることができる。 
■平成13年(2001)に奥会津地方歴史民俗資料館編集、福島県田島町教育委員会が発行した『木地語り 会津田島のとびの足跡』は下郷町在住の金井晃さんがまとめたもので、奥会津・南会津(いわゆる南山御蔵入)の木地挽きについて詳細に調査されている。現昭和村域の近世の木地屋遺跡の調査(墓石等)、文献も多数掲載されている。
■平成14年(2002)に昭和村文化財保護審議会委員長の馬場勇伍編著『木地師の跡を尋ねて 山中の墓に手を合わせ乍ら』(昭和村教育委員会発行)は、村内12ヶ所の木地屋集落跡の墓地・墓石調査を行ったものである。