2017年4月19日水曜日

4月30日の例会、台湾の藍染研究会 馬芬妹さん。

会津学研究会・臨時例会のお知らせです。
<台湾の藍染研究家・作家の馬芬妹(まふんまい)さん来日講演>
日時: 4月30日(日)13:30~15:30
場所:会津坂下町 八幡コミュニティセンター
テーマ:第1部「台湾の藍染」馬 芬妹
第2部「台湾に学ぶ苧麻(からむし)の生活文化」馬 芬妹・菅家博昭(会津学研究会代表)・菅家洋子 
※予約不要・参加費無料です。
 馬さんは、会津学研究会代表の菅家夫妻の台湾での苧麻(からむし)研修をサポートしてくださった藍染研究家で、国立台湾手工芸研究所の専任教授を経て、現在は台湾国内に藍染の技術を定着させる活動を行っておられます。4月末から日本各地で研修される合間を縫って講義の時間をとってくださいました。台湾の藍染めのみならず、台湾各地で技術を継承させる取り組みの現状などをお聞きします。
 第2部では、前回の苧麻(からむし)研修報告をさらに深めるトークが予定されています。是非お出かけください。
 問い合わせは奥会津書房(0241‐52‐3580)まで。

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 → 遠藤由美子さんのFB

 
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 福島県河沼郡会津坂下町大字塔寺字北原787番地→ 会場の やはたコミュニティセンター。同所は事務員が不在のため電話連絡はつきません。立木観音の隣りです。
  



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■植物繊維からむしは英語ではラミーと訳されることが多い。また文献では青苧(あおそ)、あるいは青麻(あおそ)とも表記される。中国表記の苧麻(ちょま)は、日本では明治時代になって繊維が輸入されるようになってから表記されはじめ、ヲ(wo を)という植物繊維を総称する呼称に日本等では「苧(を、からむし)」の字を当てたことから、文献上は「苧(を)」という文字がかなり頻出するが、それにはからむしだけではなくアサも含まれ、他の植物繊維も含まれる。そのため植物種を文献から同定する場合には細心の注意が必要。麻苧(あさを)という言葉も多く出てくる。これは植物繊維の原料束の商品となったものを意味し、素材を特定する場合には用心する。からむしの場合もあり、しかし多くはアサに比定されている。「苧」という漢字を使わずに「を」という表記が正しいと考える。を・うみ(を・績み)は、植物繊維束から繊維を裂き、細くつなぐ行為を言う。徳島県木頭の太布(カジ・コウゾの樹皮原料)でも「を・うみ」と言い、アサでもからむしでも同じように「を・うみ」という。これを「苧績み」と表記すると、後代に「苧」はからむしの意味で、からむしを績む行為と誤った理解となる。

 「を(コウゾ)績み」「を(アサ)績み」「を(からむし)績み」と表記すべき。

 同じことに5月下旬に行われる「からむし・焼き」がある。成長したからむしを焼いて芽を揃える行為と施肥、防虫等の意味があるが、「はたやき(畑焼き)」などと焼畑優先思想からの表現が最近は多く多くみられる。誤った用法・表記となっている。これは「からむしやき」とよんでいた。

 また夏に行われる「を(アサ)ひき」は、アサの行為で、からむしの場合は「からむしひき」と表現してきた。それが「苧引き」と漢字表現されるなかで、「苧」を「を」と呼び「をひき」と誤った表現としている。この場合は「苧(からむし)引き」と表記しなければならない。古老はすべて「からむしひき」と呼んでいた。

 一方、「をひき」「からむしひき」で使用される「を・ひき・ばん」は、近世の金山谷野尻組(現昭和村)では、「を(アサ)」をひく舟状の木製盤を、近世後期に導入された新しい植物からむしをその道具で共用使用したことから、「を(からむし)引き盤」と呼称する。この場合のみ、からむしひき盤と呼称されることは無い。
 しかし、現代に残る「をひき盤」を見ると、差異があり、古老に話しを聞くと、「をひき盤」でもアサ専用に挽いた盤は細長く、長いアサ繊維を挽くのに特化した形状になっているものもある。からむしをひく「をひき盤」は定尺(オヤソ・カゲソ・コドモソ(わたくしそ))なので短い寸法になっている、という。

 台湾島での苧麻(からむし)の呼び名は「ツーマ」である。沖縄の苧麻の一般呼称の「ブー」は「ウー(をー)」につながるもの。
 しかし、台湾島の先住民族(台湾では原住民族と表記)の場合はそれぞれに呼称が異なる。
 2017年3月の訪問調査では、タイヤル族は「ガリー」、ブヌン(布農)族は「リブ」と呼ぶ、という。

 日本国内では、2017年4月の現地調査で徳島県那賀町木頭地区では、からむしを「ヒュウジ」と呼び、2017年1月の宮崎県高千穂町の調査では、からむしを「かっぽんたん」「ぽんぽんくさ」と呼んでる。ただし宮崎県の蒐集した民俗資料には「ラミー鎌」というカマがあり、明治以降にラミー(からむし)が栽培された形跡がみられる。戦前の日本政府の苧麻研究の試験場が宮崎県内と台湾島にあった名残と思われた。

 日本列島内(琉球諸島を含む)での、からむし呼称については、本当に詳細に行われていないので、土地の言葉をあらためて聞き、作業工程、道具類についても土地の呼び名での採録が必要になっている。それが文化伝播によるものか、後に参考となることが予見される。

 
 2017年3月14日菅家博昭撮影。台湾島のタイヤル族の栽培しているからむし(ガリー)。葉裏は白い。赤芯種。桃園市復興区。碧織屋(王碧珠さん)工房の畑。 
 からむしの解説は、台湾、桃園市の遊玩生活文化創意有限公司の孫業琪Daki Ratukさんによる。
 

茎からの分枝のわきめ(液胞)が品種分類には重要。


 からむしの根。植えつけ用。